声優 コロナ。 声優の8割がコロナのせいで借金生活。このままではAV出演や風俗店で働くしかなくなる

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声優 コロナ

4月になってから新規の仕事依頼がまったくなくなった俳優・声優が約7割、収入が50%以下になった人が34. 4%にものぼったからだ。 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために制作がストップしているためだ。 仕事や人生がいまひとつうまくいかないと鬱屈する団塊ジュニアやポスト団塊ジュニアを「しくじり世代」と名付けた『ルポ 京アニを燃やした男』著者の日野百草氏が、今回は、コロナの影響で廃業を真剣に考え始めた40代男性声優についてレポートする。 * * * 4月17日、緊急事態宣言が日本全国に拡大された週末の金曜日、シャッター街となった東京の秋葉原の一角に人が溢れていた。 大手アニメショップがこの日を境に一時休業するとあって、客でごった返していた。 それにしても凄い人、立ち入りはしなかったがみんな怖くないのだろうか、マスクをしている人が心なしか少ない気がする。 若い人が多いのもあるのだろうが、自分だけは大丈夫と思っているのだろうか。 などと遠巻きに眺めながら、待ち合わせの喫茶店に向かう。 大手量販店は軒並み休業だ。 裏通りに入ると、大手同人ショップは時短対応で一部店舗は開いていた。 こちらは平日の一部店舗は開くとのことで急ぐこともないのか、人が少ない。 小規模なPCパーツショップやオタクグッズ屋も同様だ。 オタクはインドアでネット強者の通販好きというイメージで語られがちだが、同好と連れ立って秋葉原を歩いて物色、あーでもないこーでもないと話すのも楽しみだったりする。 実際、カップルや同好と思わしき集団も散見される。 いつもと違うのは外国人がほとんどいないことくらいか、それでもなんだかんだ言って街に人は少ない。 これがあの秋葉原かというほどに。 「講師やイベントの仕事もしばらくないし、別のバイトもシフトを減らされて、ほんとお手上げだね」 待ち合わせの相手は男性声優のロンドさん(40代・仮名)である。 彼の所属していた前の前の事務所時代、2000年代前半に私と仕事をしていただいた方である。 背は高くないが強そうな出で立ちで貫禄がある。 実際、役柄も若い頃から筋骨隆々とした体格のガチムキ系やおじさんが多い。 しかしその姿や声に似合わずかわいいクリームソーダを頼んでいた。 この有名画家の名を冠した喫茶店は唯一、コロナの中でも営業していたのがこの店舗であり、ロンドさんのお気に入りでもある。 「声の仕事? 単発で入ることはあるけど少ないね。 それはずっとだけどさ。 だからイベントの司会とか声優学校の講師とか。 声優学校といっても誰も知らないような学校だけど」 ロンドさん、数年前に事務所を退所して以来、声優としては開店休業状態の「崖っぷち声優」である。 その間は知り合いの紹介で声仕事を数件、地下アイドルやショッピングモールのイベント司会、あとはアルバイトで食いつないで来た。 というか生活費の大半はアルバイトで、そこから家賃を捻出している。 独身で、現在とくに付き合っている人はいない。 「俺みたいな仕事がない声優をバカにする人もいるけど、一般的な声優の大半はこんな感じだよ。 これは新人でもベテランでも変わらない」 誰もが知っている人気声優や引く手あまたの声優ならともかく、ほとんどの声優が副業やアルバイトを掛け持ちしているのは事実である。 そもそも考えてほしい、多くの声優、年に数作、数キャラしか仕事をしない声優がアニメやゲーム、外画と呼ばれる外国映画の吹き替えの仕事など、いわゆる声の仕事だけで食えているはずがないのだ。 声優は各データベースに載っている数だけでも1500~2000人、NHKによれば実際は1万人はいるとされている。 裏名義や自称のネット声優、地方のナレーターなども含むとすれば当たらずといえども遠からずだろう。 「それに売れてる売れてないじゃないんだよね、声優は。 そりゃ売れてるのが一番だけど、基本仕事があるかないか。 売れてなくてもマイナーでも仕事がひっきりなしの声優もいる。 裏方だからさ、ある意味、職人だな」 多くはアニメ=声優と捉えがちだが、声優仕事の大部分はボイスオーバー、音声案内、イベントなど声のなんでも屋だ。 それすら限られた声優で奪い合うため、あぶれた彼ら、彼女らはアルバイトで生計を立てている。 いや、実はそれなりに知られた人ですら、仕事が少ない、減った声優はこっそり副業をしているのが現実だ。 といっても全員が食うや食わずというわけでもなく、音響関係や声優事務所のスタッフなどはもちろん、運良く理解ある会社に恵まれて一般企業のサラリーマン兼声優だったり、資格持ちだと看護師や薬剤師をしながらパートで、という場合もある。 「でもバイトで何とかなってれば表で声優って名乗れるからね。 専業で食えてない奴も。 声優名鑑に載ってる声優もだよ」 ロンドさんの芸名をネット検索でググればたくさんの検索結果が出る。 ほとんどはデータベースの類だが、声優名鑑やタレントデータベースの類に載っているからといってそれだけで食べていけている人は限られている。 「こんな俺でも有名アニメにたくさん出たよ。 ほとんどが兵士AとかサラリーマンAとか部下Aとか不良Aだったけど、それだけじゃなく脇役だけどちゃんと名前のある重要な役をやったこともあるし。 あのときはイベントとかも出たりして楽しかったよ。 それを成し遂げ続けたロンドさんは凄いし、だからこそ私もかつて起用させていただいた。 もちろんロンドさんには表の芸名とは別の裏名もある。 ロンドさんはジャンプアニメから国民的アニメまで、端役ならなんでもござれの声の職人だ。 「最初の大手事務所のころは仕事があったけど、やっぱり小さいところを渡り歩くと俺みたいのは厳しいね。 まして今じゃフリーの身、フリーってのは二種類あってね、自分で稼げるからフリーってのと、どこからもお呼びがないからフリーってのがいる。 俺は後者、まあ、色々と下手打ったのもあったんだけどね、若手にも偉そうな態度とって、次々追い越されちゃ世話ないよな」 その辺、自虐を混じえながらも細かくは語らないロンドさん。 私も事情はそれなりには知っているが深く追求はしない。 幸いにしてよほどの売れっ子声優でもない限り、アイドルや芸人ほどは「あの人はいま」扱いされないのが声優だ。 いきさつについて突っ込んでも問題はないが、今日は別にそんな業界裏話を取材したいわけではない。 ロンドさんの実際の生活を支えている副業やバイトの件と、コロナの影響だ。 「それが問題なんだよ。 今まで夜勤で入ってた仕事があって、それが楽で美味しい仕事だったんだ。 なのに時短で営業時間が短くなってその夜勤仕事が無くなった。 昼間のシフトだと時給は安いしガッツリ入れない、一応声の仕事が入ることもあるしね。 で、そうこうしているうちに先週で休業さ」 仕事内容は明かしてくれないが、時給も高く楽な夜勤仕事だったので長く続けていたそうだ。 しかし営業自粛の煽りで仕事はなくなった。 「講師のほうは大した金にはなってなかったけど、先生と呼ばれるのは悪いもんじゃなかった。 俺も声優志望の連中には言いたいこと山ほどあるからさ。 でもそれも学校がしばらくお休みで無し。 再開しても、次にお呼びが来るかわかんないね」 声優志望の人が聞いたら、彼が言うことは夢のないみみっちい話と思うかも知れないが、声優に限らずクリエイターとはこういうものである。 ごくごく一部の売れっ子や手堅く多くの仕事を得ているのでなければ他で稼ぐ他ないのだ。 それでも私ごときがフリーランスで生活できていることを考えると、声優業界は極端かつ厳しすぎる世界だとは思うが。 「で、このままバイト先がないと、声優でいられないんだよね。 完全に足洗ってフルタイムで働かなくちゃいけなくなる。 変な話だけど」 なるほど、確かに変な話だ。 声優と名乗るためにバイトをして、バイトがなくなったら声優は廃業してフルタイムの専業で働かなくてはならない。 しかしこれが声優界の、とくに中高年崖っぷち声優の現実である。 ロンドさんが声優でいるためには、バイト先があり、きっちり収入がないといけないのだ。 なぜならロンドさんの声優としての収入はほとんどないのだから。 私も何を言っているかわからなくなってくるが、とにかくこれまでの声優としての肩書といまでも声優ではあるというためには、ある程度自由の効くアルバイトという業態でなければならない、その働く先が、このコロナ禍でどこにもないのだ。 「実質引退状態の声優なんてごまんといるけどさ、さっきも言ったけど過去の実績がそれなりにあれば表向きは声優ではいられるからね。 あとは慢性人手不足な上にコロナ騒動で逃げ出す人が続出のスーパーやドラッグストア、あとは清掃か。 年齢の問題もあるし、コロナ禍真っ只中とあっては求人を出してはいても面接をしていなかったり、実際は採用を止めているところも多そうだ。 そうでないところにはバイトのシフトを減らされたり待機させられたりで収入を減らした学生や若年フリーターが押しかけている。 40歳を過ぎるとバイト探しも一苦労だ。 「だからいま動いてもしょうがないからね、アパートでぼーっとしてるよ。 役者仲間とも集まれないし、アクティブでもないんで自粛も苦にならない。 好きな音楽聞いて、ゴロゴロしてる」 見かけによらずインドアなロンドさん。 「声の仕事は諦めたくないんだ。 声の仕事、好きだし」 あれこれ今後のバイトの話や求人状況の話をしていると、ロンドさんが乾いた笑い混じりにつぶやいた。 諦めるも何も、プロとしてやってきたロンドさんである。 外画では数々の有名作品の日本語吹き替え版をあててきた。 そもそも、目指す大半は事務所に所属どころかその声優そのものにすらなれないなかで、実績があるロンドさんは特別な存在だともいえる。 「あれは事務所の力もあるんだよ、大手にいればひと山いくらで私がキャスティングされることもある。 そのチャンスを活かせないとね」 大手事務所は、一つの作品に対してまとまった人数のキャスティングをまかされることがたびたびある。 そのパッケージ内に誰を入れるかは事務所内で決めることなので、それなりの評価をされてなければ食い込めない。 そこに選ばれ続けていたのだから評価はされていたはずで、役者は虚勢を張ってなんぼの商売だ、自信を持ってほしいと力説するとロンドさんはまんざらでもない様子でうなずいた。 「嬉しいね。 でも日野さんみたいに理解してくれる人ばかりじゃないからね、ずるずるとやってきたと言われればそれまでだけど、こんな世の中になるなんて思わなかったしね」 これまで声優に限らず役者もミュージシャンもアイドルの大半はバイト先が、副業があったからやっていけた裏事情がある。 自由な生き方、夢を追うための糧があるからこそ名乗ることができた。 それもまた文化の豊かさであり、そのよき一面だ。 いや、むしろ文化とはそういった人々の下支えがあってこそ成り立って来たといえる。 誰からも知られ、愛されるスターはそんな中から生まれる。 コロナという疫病はそんな夢をいとも簡単に破壊する。 14世紀のペストがルネサンスの原動力になったと言われても、1億人が死んだ現実、今がもしそれだとするなら、当事者の我々がそんな悠長な話を聞いていられるわけがない。 ルネサンスなんかよりその死んだ1億にいま入るのではと恐怖するのが当然だ。 「俺なんかが心配することじゃないけど、この先どうなるんでしょうね。 アニメも延期、収録も抜き録りでしのいでいたのが延期や中止、そんな状態じゃ俺なんか無理かもしれんね」 かつて自信家で、いかにも役者然としていたロンドさんがここまで追い詰められるとは。 私はこれ以上の気の利いた言葉が浮かばなかった。 今回の疫病は私たちが経験したことのないような災禍をもたらすだろう。 それは天災のような一過性、もしくは局所的なものではなく、国全体、いや人類全体を巻き込む災禍だろう。 14世紀のペストは言い過ぎかも知れないが、私たちの生命はもちろん、それまでの価値観や人生設計、将来図まで根本的に変えられてしまうだろう。 そんな人類史規模の危機を鑑みれば、文化芸術など後回しになるのは自明の理だ。 しかし個々人からすれば、ロンドさんからすればそうではない、それは私もそうだ。 声優業界もまた、多くの人々が、ファンが育ててきた大切な日本文化のひとつだ。 「でも独身なのは幸いだよ。 どうにもならなくなったら実家に帰って色々考えるけど、その時は本当に引退だな」 声優の仕事のほとんどは都市部、というか東京に一極集中している。 地方局や地方企業にもナレーションやボイスオーバーの仕事はあるがそれすらごくわずか、まずアニメやゲーム、外画のメジャーな仕事は皆無である。 「実家に帰ったら、俺どうしようかって考えるんですよ。 でも金が尽きたら東京にはいられないし、仕方ないね」 昨今、長距離移動はご法度だが、生活面で帰らざるを得ない人々もいる。 疫病は、何を選択しても誰かしらの迷惑となってしまう。 人々の心も分断してしまう。 ロンドさんを笑うなかれ、彼にも輝かしい時代はあった。 もう人間が人間を笑う時代は終わりになる。 非正規や夢追い人の次は会社員だ。 経済危機はもちろん、疫病による死は平等に訪れる。 稚拙な公正世界仮説など通用しない。 いずれ、ネットでマウントを取り合っていた時代が懐かしくなることだろう。 「ま、いろいろ愚痴っちゃったけど諦めませんよ。 なんとか踏みとどまります」 そう、ロンドさんの強みは声優として20年近くもやってこれたこと、大手事務所に所属したこともあり、少ないながらも有名作品で役名をもらい、演じたその作品が残っていることだ。 それはほとんどの人には知られていないが、クレジットにはしっかり記載されている。 それは誰もがたどり着けるステージではない。 それを誇りに、どんな仕事でもしてこの時代を歩むしかない。 声優であり続けるために、自分のこれまでの、自分だけの人生の勲章を守るために。 他者の価値観に縛られる幸福ではなく、自分自身の絶対的幸福を見出さなければ本当に終わる、それほどまでに私たちはいま、漫画やアニメではない、リアルな終末世界の只中にいる。 1972年千葉県野田市生まれ。 日本ペンクラブ正会員。 ゲーム誌やアニメ誌のライター、編集人を経てフリーランス。 2018年9月、評論「『砲車』は戦争を賛美したか 長谷川素逝と戦争俳句」で日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞を受賞。 2019年7月『ドキュメント しくじり世代』(第三書館)でノンフィクション作家としてデビュー。 12月『ルポ 京アニを燃やした男』(第三書館)を上梓。

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声優ライブ「チケ代2倍」がTwitterトレンド入り 新型コロナ禍のイベント開催制限で

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4月になってから新規の仕事依頼がまったくなくなった俳優・声優が約7割、収入が50%以下になった人が34. 4%にものぼったからだ。 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために制作がストップしているためだ。 仕事や人生がいまひとつうまくいかないと鬱屈する団塊ジュニアやポスト団塊ジュニアを「しくじり世代」と名付けた『ルポ 京アニを燃やした男』著者の日野百草氏が、今回は、コロナの影響で廃業を真剣に考え始めた40代男性声優についてレポートする。 * * * 4月17日、緊急事態宣言が日本全国に拡大された週末の金曜日、シャッター街となった東京の秋葉原の一角に人が溢れていた。 大手アニメショップがこの日を境に一時休業するとあって、客でごった返していた。 それにしても凄い人、立ち入りはしなかったがみんな怖くないのだろうか、マスクをしている人が心なしか少ない気がする。 若い人が多いのもあるのだろうが、自分だけは大丈夫と思っているのだろうか。 などと遠巻きに眺めながら、待ち合わせの喫茶店に向かう。 大手量販店は軒並み休業だ。 裏通りに入ると、大手同人ショップは時短対応で一部店舗は開いていた。 こちらは平日の一部店舗は開くとのことで急ぐこともないのか、人が少ない。 小規模なPCパーツショップやオタクグッズ屋も同様だ。 オタクはインドアでネット強者の通販好きというイメージで語られがちだが、同好と連れ立って秋葉原を歩いて物色、あーでもないこーでもないと話すのも楽しみだったりする。 実際、カップルや同好と思わしき集団も散見される。 いつもと違うのは外国人がほとんどいないことくらいか、それでもなんだかんだ言って街に人は少ない。 これがあの秋葉原かというほどに。 「講師やイベントの仕事もしばらくないし、別のバイトもシフトを減らされて、ほんとお手上げだね」 待ち合わせの相手は男性声優のロンドさん(40代・仮名)である。 彼の所属していた前の前の事務所時代、2000年代前半に私と仕事をしていただいた方である。 背は高くないが強そうな出で立ちで貫禄がある。 実際、役柄も若い頃から筋骨隆々とした体格のガチムキ系やおじさんが多い。 しかしその姿や声に似合わずかわいいクリームソーダを頼んでいた。 この有名画家の名を冠した喫茶店は唯一、コロナの中でも営業していたのがこの店舗であり、ロンドさんのお気に入りでもある。 「声の仕事? 単発で入ることはあるけど少ないね。 それはずっとだけどさ。 だからイベントの司会とか声優学校の講師とか。 声優学校といっても誰も知らないような学校だけど」 ロンドさん、数年前に事務所を退所して以来、声優としては開店休業状態の「崖っぷち声優」である。 その間は知り合いの紹介で声仕事を数件、地下アイドルやショッピングモールのイベント司会、あとはアルバイトで食いつないで来た。 というか生活費の大半はアルバイトで、そこから家賃を捻出している。 独身で、現在とくに付き合っている人はいない。 「俺みたいな仕事がない声優をバカにする人もいるけど、一般的な声優の大半はこんな感じだよ。 これは新人でもベテランでも変わらない」 誰もが知っている人気声優や引く手あまたの声優ならともかく、ほとんどの声優が副業やアルバイトを掛け持ちしているのは事実である。 そもそも考えてほしい、多くの声優、年に数作、数キャラしか仕事をしない声優がアニメやゲーム、外画と呼ばれる外国映画の吹き替えの仕事など、いわゆる声の仕事だけで食えているはずがないのだ。 声優は各データベースに載っている数だけでも1500~2000人、NHKによれば実際は1万人はいるとされている。 裏名義や自称のネット声優、地方のナレーターなども含むとすれば当たらずといえども遠からずだろう。 「それに売れてる売れてないじゃないんだよね、声優は。 そりゃ売れてるのが一番だけど、基本仕事があるかないか。 売れてなくてもマイナーでも仕事がひっきりなしの声優もいる。 裏方だからさ、ある意味、職人だな」 多くはアニメ=声優と捉えがちだが、声優仕事の大部分はボイスオーバー、音声案内、イベントなど声のなんでも屋だ。 それすら限られた声優で奪い合うため、あぶれた彼ら、彼女らはアルバイトで生計を立てている。 いや、実はそれなりに知られた人ですら、仕事が少ない、減った声優はこっそり副業をしているのが現実だ。 といっても全員が食うや食わずというわけでもなく、音響関係や声優事務所のスタッフなどはもちろん、運良く理解ある会社に恵まれて一般企業のサラリーマン兼声優だったり、資格持ちだと看護師や薬剤師をしながらパートで、という場合もある。 「でもバイトで何とかなってれば表で声優って名乗れるからね。 専業で食えてない奴も。 声優名鑑に載ってる声優もだよ」 ロンドさんの芸名をネット検索でググればたくさんの検索結果が出る。 ほとんどはデータベースの類だが、声優名鑑やタレントデータベースの類に載っているからといってそれだけで食べていけている人は限られている。 「こんな俺でも有名アニメにたくさん出たよ。 ほとんどが兵士AとかサラリーマンAとか部下Aとか不良Aだったけど、それだけじゃなく脇役だけどちゃんと名前のある重要な役をやったこともあるし。 あのときはイベントとかも出たりして楽しかったよ。 それを成し遂げ続けたロンドさんは凄いし、だからこそ私もかつて起用させていただいた。 もちろんロンドさんには表の芸名とは別の裏名もある。 ロンドさんはジャンプアニメから国民的アニメまで、端役ならなんでもござれの声の職人だ。 「最初の大手事務所のころは仕事があったけど、やっぱり小さいところを渡り歩くと俺みたいのは厳しいね。 まして今じゃフリーの身、フリーってのは二種類あってね、自分で稼げるからフリーってのと、どこからもお呼びがないからフリーってのがいる。 俺は後者、まあ、色々と下手打ったのもあったんだけどね、若手にも偉そうな態度とって、次々追い越されちゃ世話ないよな」 その辺、自虐を混じえながらも細かくは語らないロンドさん。 私も事情はそれなりには知っているが深く追求はしない。 幸いにしてよほどの売れっ子声優でもない限り、アイドルや芸人ほどは「あの人はいま」扱いされないのが声優だ。 いきさつについて突っ込んでも問題はないが、今日は別にそんな業界裏話を取材したいわけではない。 ロンドさんの実際の生活を支えている副業やバイトの件と、コロナの影響だ。 「それが問題なんだよ。 今まで夜勤で入ってた仕事があって、それが楽で美味しい仕事だったんだ。 なのに時短で営業時間が短くなってその夜勤仕事が無くなった。 昼間のシフトだと時給は安いしガッツリ入れない、一応声の仕事が入ることもあるしね。 で、そうこうしているうちに先週で休業さ」 仕事内容は明かしてくれないが、時給も高く楽な夜勤仕事だったので長く続けていたそうだ。 しかし営業自粛の煽りで仕事はなくなった。 「講師のほうは大した金にはなってなかったけど、先生と呼ばれるのは悪いもんじゃなかった。 俺も声優志望の連中には言いたいこと山ほどあるからさ。 でもそれも学校がしばらくお休みで無し。 再開しても、次にお呼びが来るかわかんないね」 声優志望の人が聞いたら、彼が言うことは夢のないみみっちい話と思うかも知れないが、声優に限らずクリエイターとはこういうものである。 ごくごく一部の売れっ子や手堅く多くの仕事を得ているのでなければ他で稼ぐ他ないのだ。 それでも私ごときがフリーランスで生活できていることを考えると、声優業界は極端かつ厳しすぎる世界だとは思うが。 「で、このままバイト先がないと、声優でいられないんだよね。 完全に足洗ってフルタイムで働かなくちゃいけなくなる。 変な話だけど」 なるほど、確かに変な話だ。 声優と名乗るためにバイトをして、バイトがなくなったら声優は廃業してフルタイムの専業で働かなくてはならない。 しかしこれが声優界の、とくに中高年崖っぷち声優の現実である。 ロンドさんが声優でいるためには、バイト先があり、きっちり収入がないといけないのだ。 なぜならロンドさんの声優としての収入はほとんどないのだから。 私も何を言っているかわからなくなってくるが、とにかくこれまでの声優としての肩書といまでも声優ではあるというためには、ある程度自由の効くアルバイトという業態でなければならない、その働く先が、このコロナ禍でどこにもないのだ。 「実質引退状態の声優なんてごまんといるけどさ、さっきも言ったけど過去の実績がそれなりにあれば表向きは声優ではいられるからね。 あとは慢性人手不足な上にコロナ騒動で逃げ出す人が続出のスーパーやドラッグストア、あとは清掃か。 年齢の問題もあるし、コロナ禍真っ只中とあっては求人を出してはいても面接をしていなかったり、実際は採用を止めているところも多そうだ。 そうでないところにはバイトのシフトを減らされたり待機させられたりで収入を減らした学生や若年フリーターが押しかけている。 40歳を過ぎるとバイト探しも一苦労だ。 「だからいま動いてもしょうがないからね、アパートでぼーっとしてるよ。 役者仲間とも集まれないし、アクティブでもないんで自粛も苦にならない。 好きな音楽聞いて、ゴロゴロしてる」 見かけによらずインドアなロンドさん。 「声の仕事は諦めたくないんだ。 声の仕事、好きだし」 あれこれ今後のバイトの話や求人状況の話をしていると、ロンドさんが乾いた笑い混じりにつぶやいた。 諦めるも何も、プロとしてやってきたロンドさんである。 外画では数々の有名作品の日本語吹き替え版をあててきた。 そもそも、目指す大半は事務所に所属どころかその声優そのものにすらなれないなかで、実績があるロンドさんは特別な存在だともいえる。 「あれは事務所の力もあるんだよ、大手にいればひと山いくらで私がキャスティングされることもある。 そのチャンスを活かせないとね」 大手事務所は、一つの作品に対してまとまった人数のキャスティングをまかされることがたびたびある。 そのパッケージ内に誰を入れるかは事務所内で決めることなので、それなりの評価をされてなければ食い込めない。 そこに選ばれ続けていたのだから評価はされていたはずで、役者は虚勢を張ってなんぼの商売だ、自信を持ってほしいと力説するとロンドさんはまんざらでもない様子でうなずいた。 「嬉しいね。 でも日野さんみたいに理解してくれる人ばかりじゃないからね、ずるずるとやってきたと言われればそれまでだけど、こんな世の中になるなんて思わなかったしね」 これまで声優に限らず役者もミュージシャンもアイドルの大半はバイト先が、副業があったからやっていけた裏事情がある。 自由な生き方、夢を追うための糧があるからこそ名乗ることができた。 それもまた文化の豊かさであり、そのよき一面だ。 いや、むしろ文化とはそういった人々の下支えがあってこそ成り立って来たといえる。 誰からも知られ、愛されるスターはそんな中から生まれる。 コロナという疫病はそんな夢をいとも簡単に破壊する。 14世紀のペストがルネサンスの原動力になったと言われても、1億人が死んだ現実、今がもしそれだとするなら、当事者の我々がそんな悠長な話を聞いていられるわけがない。 ルネサンスなんかよりその死んだ1億にいま入るのではと恐怖するのが当然だ。 「俺なんかが心配することじゃないけど、この先どうなるんでしょうね。 アニメも延期、収録も抜き録りでしのいでいたのが延期や中止、そんな状態じゃ俺なんか無理かもしれんね」 かつて自信家で、いかにも役者然としていたロンドさんがここまで追い詰められるとは。 私はこれ以上の気の利いた言葉が浮かばなかった。 今回の疫病は私たちが経験したことのないような災禍をもたらすだろう。 それは天災のような一過性、もしくは局所的なものではなく、国全体、いや人類全体を巻き込む災禍だろう。 14世紀のペストは言い過ぎかも知れないが、私たちの生命はもちろん、それまでの価値観や人生設計、将来図まで根本的に変えられてしまうだろう。 そんな人類史規模の危機を鑑みれば、文化芸術など後回しになるのは自明の理だ。 しかし個々人からすれば、ロンドさんからすればそうではない、それは私もそうだ。 声優業界もまた、多くの人々が、ファンが育ててきた大切な日本文化のひとつだ。 「でも独身なのは幸いだよ。 どうにもならなくなったら実家に帰って色々考えるけど、その時は本当に引退だな」 声優の仕事のほとんどは都市部、というか東京に一極集中している。 地方局や地方企業にもナレーションやボイスオーバーの仕事はあるがそれすらごくわずか、まずアニメやゲーム、外画のメジャーな仕事は皆無である。 「実家に帰ったら、俺どうしようかって考えるんですよ。 でも金が尽きたら東京にはいられないし、仕方ないね」 昨今、長距離移動はご法度だが、生活面で帰らざるを得ない人々もいる。 疫病は、何を選択しても誰かしらの迷惑となってしまう。 人々の心も分断してしまう。 ロンドさんを笑うなかれ、彼にも輝かしい時代はあった。 もう人間が人間を笑う時代は終わりになる。 非正規や夢追い人の次は会社員だ。 経済危機はもちろん、疫病による死は平等に訪れる。 稚拙な公正世界仮説など通用しない。 いずれ、ネットでマウントを取り合っていた時代が懐かしくなることだろう。 「ま、いろいろ愚痴っちゃったけど諦めませんよ。 なんとか踏みとどまります」 そう、ロンドさんの強みは声優として20年近くもやってこれたこと、大手事務所に所属したこともあり、少ないながらも有名作品で役名をもらい、演じたその作品が残っていることだ。 それはほとんどの人には知られていないが、クレジットにはしっかり記載されている。 それは誰もがたどり着けるステージではない。 それを誇りに、どんな仕事でもしてこの時代を歩むしかない。 声優であり続けるために、自分のこれまでの、自分だけの人生の勲章を守るために。 他者の価値観に縛られる幸福ではなく、自分自身の絶対的幸福を見出さなければ本当に終わる、それほどまでに私たちはいま、漫画やアニメではない、リアルな終末世界の只中にいる。 1972年千葉県野田市生まれ。 日本ペンクラブ正会員。 ゲーム誌やアニメ誌のライター、編集人を経てフリーランス。 2018年9月、評論「『砲車』は戦争を賛美したか 長谷川素逝と戦争俳句」で日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞を受賞。 2019年7月『ドキュメント しくじり世代』(第三書館)でノンフィクション作家としてデビュー。 12月『ルポ 京アニを燃やした男』(第三書館)を上梓。

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大塚明夫「声優を夢見る若者が陥りがちな失敗」

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レイチェル・マシューズ。 出身地である米ロサンゼルスを拠点に活動し、テレビシリーズ『バットウーマン』やテレビドラマ『ルッキング・フォー・アラスカ』にも出演。 ホラー映画『ハッピー・デス・デイ』やその続編『ハッピー・デス・デイ 2U』への出演でも知られるレイチェルは、現地時間の3月16日、新型コロナウイルスの感染検査で陽性の判定を受け、1週間前から隔離生活を送っていることを告白。 体調は順調に回復しており、少しでも人々の役に立てればという思いから、自身の体験をシェアし、フォロワーからの質問にも答えたいと明かした。 レイチェルは、続けて、自身が経験した1日ごとの症状をリストアップ。 その内容はこのように綴られている。 なぜすぐに検査を受けられた? 続けて、フォロワーたちから殺到した「検査はどうやったら受けられるの?」といった質問にも回答。 レイチェルは、現在アメリカでは検査体制が万全では無く、検査を受けることが非常に難しい状況が続いていることを認めながら、自身は、「先に陽性と判定を受けた人物との濃厚接触があったことと、すでに症状が出ていたためため、検査を受けることができた」と明かした。 しかし、レイチェルは、「検査で陽性の結果が出たからといって、何かが大きく変わったり、特別な薬を処方してもらえたりするわけではない」と説明。 もしも、明らかな症状が出ていないのに、ただ不安から検査を受けたいと思っている人は、とにかく自主隔離をして自宅で様子を見るべきだと経験者の立場からアドバイスした。 (フロントロウ編集部).

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