イシュー。 イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

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『イシューからはじめよ』はこんな人にオススメ 以下のような人には是非読んで欲しい本になります。 3年9ヶ月で学位取得した後、同社に復帰。 10年以上に渡り消費者マーケティングに従事し、アジア太平洋地域において、飲料・小売り・ハイテクなど幅広い分野でのブランドの立て直し、商品・事業開発に関わる。 2008年秋よりヤフー株式会社COO室室長として様々な経営課題のみならず新たな顧客視点でのサービスの創出に携わり、12年春より現職となる。 生産性の高い人と低い人の違いは、 問題を解く前に、問題の「見極め」をしているかどうかです。 彼らは問題解決の際に、まず最初に解くべき問題を見極めてそこに集中しているから、短時間でも素晴らしいアウトプットを出せるのであると、筆者は言います。 この本では、そんな生産性の高い人の具体的な問題解決の流れを学ぶことができます。 早速ですが、バリューのある仕事とはなんでしょうか。 バリューの本質は イシュー度(自分の置かれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ)と 解の質(そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているのかの度合い)の2つで成り立ちます。 バリューのある仕事とは、イシュー度と解の質の両方が高いものを指します。 そして、 解の質よりもイシュー度の方が大事になります。 なぜなら、イシュー度の低い仕事はいくら解の質が高くても受益者(顧客・クライアント・評価者)から見たときの価値はゼロに等しいからです。 では、どうやったらバリューの高い仕事ができるのか? 解の質を上げることでバリューの高い仕事に到達することはできません。 これを著者は「犬の道」と言って避けるべきやり方だと主張しています。 イシュー度の低い問題にどれだけたくさん取り組んで解を出しても最終的なバリューは上がらず、疲弊していくだけです。 正しいやり方は、 イシュー度を上げて、次に、解の質を上げていくことです。 イシュー度と解の質を上げてバリューのある仕事をするためには、5つのステップがあります。 1つずつ見ていきましょう。 問題はまず解くものだと考えがちですが、まずすべきは、 本当に解くべき問題、すなわちイシューを見極めることです。 「これは何に答えを出すためのものなのか」を明らかにしなければ、後から混乱が発生して、目的意識がブレて多くの無駄が発生することになります。 イシューの見極めでは、「やってみないとわからないよね」とは言わずに、「こんな感じのことを決めないとね」と言ったテーマ整理程度に止まらず、強引にでも 前倒しで具体的な仮説を立てることが肝心です。 理由は以下の3つです。 「〇〇の市場規模は縮小に入りつつあるのではないか?」と一歩踏み込んだ仮説を立てることが大事です。 いたずらに労力がかかるだけです。 イシューが見えそれに対する仮説が見えたら、次はそれを 言葉にして表現することが大切です。 ) イシューと仮説を言葉で表現するときは以下の3つを意識しましょう。 時間をかけすぎずに大枠の情報を集め、対象の実態についての肌感覚を持ちましょう。 細かい数字よりも全体としての流れ・構造に着目することがポイントです。 この情報収集にもコツがあります。 そこからこぼれ落ちた現実は、それを直接見ない人には認知できないのです。 情報収集の効率は必ずどこかで頭打ちになります。 また、情報がありすぎると自分ならではの視点がなくなって、知恵が出なくなってしまいます。 次は解の質を高める作業ですが、この作業にはストーリーライン作りとそれに基づく絵コンテ作りの2つがあります。 ここでは、ストーリーライン作りを見ていきましょう。 ストーリーライン作りとは、イシューの構造を明らかにして、その中に潜むサブイシューを洗い出すことです。 ストーリーライン作りには「イシューを分解する」という作業と「分解したイシューに基づいてストーリーラインを組み立てる」という作業の2つがあります。 イシューは大きな問いなので、いきなり答えを出すのは難しいものです。 なので、答えを出せるサイズのサブイシューに分解しましょう。 その際には ダブりも漏れもなく、かつ、意味のある分解をすることが大事です。 また、多くの典型的な問題にはイシューを分解する型があり、それを使ってしのぐことができます。 詳しくは本書をご覧ください。 イシューを分解することで、 「課題の全体像が見えやすくなる」「サブイシューのうち、取り組む優先順位の高いものが見えやすくなる」というメリットがあります。 サブイシューについてもスタンスをとって仮説を立てましょう。 曖昧さを排除し、メッセージをスッキリさせるほど必要な分析のイメージが明確になります。 分解したイシューに基づいて、ストーリーラインを組み立てていきます。 具体的には、分解したイシューの構造と、それぞれに対する仮説的な立場を踏まえ、最終的に言いたいことをしっかり伝えるために、どのような順番でサブイシューを並べるのかを考えるのです。 ストーリーラインは検討が進み、サブイシューに答えが出るたびに、あるいは新しい気づき・洞察が得られるたびに、 書き換えて磨いていくものです。 分析結果や新しい事実が生まれるたびに肉付けし、刷新していきましょう。 組み立てたストーリーラインはまだ言葉だけのものです。 次は絵コンテ作りの作業です。 「絵コンテ作り」とは、ストーリーラインの個々のサブイシューに対して、必要な分析・検証のイメージ(個々のグラフや図表のイメージ)をまとめてることです。 この時に大切なのが、 大胆に思い切って描くことです。 どんなデータが取れそうかではなく、どんな分析結果が欲しいのかを起点に分析イメージを作りましょう。 これなら取れそうだと思われるデータから分析を設計するのは本末転倒です。 絵コンテ作りは大きく「軸の整理」「イメージの具体化」「方法の明示」の3つの作業に分かれます。 分析とは比較することです。 対象同士を比べてその違いを見ることです。 分析では適切な比較の軸が鍵となります。 どのような軸で何と何を比較するとイシューに答えが出るのかを考えましょう。 分析の大半を占める定量分析ですが、実は分析の型は「比較・構成・変化」という3つしかありません。 原因と結果から軸を考えてみましょう。 軸を考えるというのは原因側で何を比べるのか、結果側で何を比べるのかということです。 例えば、「ラーメンを食べる回数によって肥満度に差が出る」というのが検証したいテーマなら、チャートの横軸は「ラーメンを食べる回数」という原因の軸、縦軸は「肥満度を示す体脂肪率」という結果の軸になります。 軸の整理が終われば、次は具体的な数字を入れて分析・検討結果のイメージを作っていく段階です。 数字が入ったチャートをイメージで描いていきます。 そして、この際に比較による意味合いを表現しましょう。 ここで言う「意味合い」とは、比べた結果、違いがあるかどうかです。 どんな分析手法を使ってどんな比較を実現するか、どんな情報源から情報を得るのかを書いておきましょう。 ついに実際に分析に入りますが、ここで重要なのが「いきなり飛び込まない」ことです。 最終的な結論や話の骨格に大きな影響力を持つサブイシューから手を付けましょう。 それが本当に検証できるのかについて答えを出してしまいます。 重要な部分をはじめに検証しておかないと、描いていたストーリーが根底から崩れた場合に手がつけられなくなってしまうからです。 具体的には前提と洞察の部分が重要なサブイシューになります。 また、サブイシューについて検証するときには フェアな姿勢で検証しなければなりません。 自分たちの仮説が正しいと言えることばかり集めてくるのはNGです。 実際に手をつけてみると次々にトラブルが発生するものです。 このようなトラブルを予防するために、できる限りヘッジをかけておきましょう。 ここが崩れたら話にならないというような 重要論点については二重三重の検証に向けた仕掛けを仕込んでおいて、1つや2つが転んでもなんとか全体としてのイシューを検証できるようにしておきます。 よくあるトラブルとして以下の2つがあります。 ) イシュー、それを元にしたストーリーラインに沿って分析・検証が済んだら、あとはイシューに沿ったメッセージを人に力強く伝わるかたちで論文やプレゼン資料にまとめていきます。 具体的には「ストーリーラインの磨き込み」と「チャートの磨き込み」の2つのステップがあります。 ストーリーラインを磨き込みは、3つの確認プロセスで行います。 実際にチャートを手元に置いてめくりながら説明してみると、流れが悪いところ、締まりがないところ、補強が必要なところがすぐに分かります。 ストーリーの修正を行って、「わかりやすい」「聞いていて引っかかるところのない」ストーリーにしていきます。 このテストによって自分がそのプロジェクトや企画、論文についてどこまで本当に理解し、人に説明しているかについて測ることができます。 ストーリーラインを磨きこんだら、チャートの磨き込みです。 メッセージ・タイトル・サポートの3つの要素を揃えて、情報源を書いてください。 以下の3点を意識すると、優れたチャーを作ることができます。 サブイシューに答えを出せる明確な比較にします。 同じ構成のチャート・図表であっても様々な表現方法があります。 メッセージと分析表現を揃えるとは、メッセージを明確に検証できる、分かりやすい分析表現に磨き込むことです。 ここまでできればメッセージドリブンのステップも終了です。 もう一度、誰かを前にしてプレゼンしてみて、問題がなければ作業は終了です。 ぜひ一読してみてください 『イシューからはじめよ』はちゃんと読み込んで、中身を身につければ、間違いなく問題解決スキルをグッと上げてくれる本だと思いました。 ぜひ一度手に取ってみてください。

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イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

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関連記事 しかし、これらの思考法をくまなくマスターしたとしても、それだけでは優れた成果を生み出すことはできない。 なぜならこれらの思考法は「どう考えるべきか?」を教えてはくれるが「何を考えるべきか?」は教えてくれないからだ。 もしあなたがビジネスパーソンなら、ビジネスの局面で以下のような状況に陥ったことは少なくないはずだ。 「何かを考えなきゃいけないことはわかってる。 でも、何を考えていいかがわからない」 もしあなたが当てはまるなら、今あなたに必要なのは、ロジカルシンキングやアナロジー思考ではなく「イシューの設定力(=論点思考)」だ。 よって、今回は「イシューとは何か?」そして「イシュードリブン思考を身につける方法」について解説する。 もし最後までこの記事をご覧になれば、あなたは「どう考えるべきか?」だけでなく「何を考えるべきか?」も明確に判断できるようになる。 そうすれば、より重要な問題にフォーカスすることが可能になり、仕事の生産性は劇的に高まるはずだ。 お知らせ:このブログから書籍化。 a subject or problem that is often discussed or argued about, especially a social or political matter that affects the interests of a lot of people (多くの人々の利益に影響する社会的・政治的問題において、議論されたり論じられたりすることが多い事柄・問題) こうして英英辞典の「ニュアンス」まで含めて考えると「イシュー」とは、• 多くの人々の利益に影響する、極めて重要性が高いもの• 議論されたり、論じられたりするもの であることがわかる。 「イシュー」のわかりやすい意味とは? 白黒つける価値が高い重要な問題。 イシューの例と重要性 イシューとは「白黒つける価値が高い重要な問題」のことを指すが、経営学の父の異名を持つピーター・ドラッカーは、この「イシュー」に対して意味深い発言を残している。 「経営における最も重大な過ちは、間違った答えを出すことではなく、間違った問題に答えることだ」 イシューを間違うということは、白黒つけるべき問題自体を間違うことであり、解く問題を間違えれば、解いた答えも当然間違うことになる。 だとすれば、物事を考える際に最も重要なのは「問題を正しく解くこと」ではなく「白黒つける価値が高い問題は何か?見極めること」だ。 例えば、あなたの会社が売上の低迷に悩んでいると仮定しよう。 リーダーであるあなたは以下のようなイシュー(=白黒つけるべき問題)を定義したとする。 「どうしたら、売上を回復させることができるのか?」 このようなイシューを設定したあなたは、チームメンバーに「売上回復策のアイデア出し」を指示することになるはずだ。 しかしぞくぞくと挙がってきたアイデアを前に、あなたは途方に暮れることになる。 なぜなら、あなたの中に「どのアイデアを選択すべきか?」の基準がなく、優先順位がつけられないからだ。 その結果「なんとなく良さそうなこのアイデア」という選び方となってしまい、その成果は未知数となる。 しかし、もし仮に以下のようなイシュー(=白黒つけるべき問題)を設定したらどうだろうか?• 「売上が低迷している原因は何か?」 もしこのようなイシューを設定すれば、あなたはチームメンバーに「売上低迷の原因究明」を指示することになる。 するとやがて売上低迷の根本原因が明らかになり「売上低迷の根本原因を解決できるアイデアはどれか?」という基準でアイデアを選ぶことができるようになる。 根本原因に対して対策を打つのだから、大きな成果が見込めるだろう。 このように「白黒つけるべき問題の設定(=イシューの設定)」は物事の方向性に大きな影響を与え、時に命運すら大きく左右する。 よって、物事を考えたり意思決定を下す際には、拙速に「答え」を求めるのではなく「イシュー(=白黒つける価値がある重要な問題)は何か?」を見極める思考習慣が必要だ。 重要なので繰り返すが、間違ったイシューは、間違った仮説を生み、間違った問題解決を生む。 これは、そもそもイシュー(=白黒つけるべき問題)の設定自体が間違っているのだから当然のことだ。 ビジネスで重要なのは問題を解決することだ。 しかしそれは、それは正しい問題を解いている場合に限られるので注意が必要だ。 問題解決の方法は イシュードリブン思考を身につけるメリット 続いては「イシューを起点に物事を考える」イシュードリブン思考を身につけるメリットについて解説しよう。 イシュードリブン思考を身につけるメリットは大きくわけて3つある。 「何を考えるべきか?」が見抜けるようになる• 仕事の生産性が上がる• チームメンバーの「考える力」を育成できるようになる 以下、一つずつ解説していこう。 イシュードリブン思考を身につけるメリット-1:「何を考えるべきか?」が見抜けるようになる 冒頭でも解説した通り「何かを考えなきゃいけないことはわかっているが、何を考えていいかがわからない」という状況に陥るのはよくあることだ。 しかし「白黒つける価値が高い重要な問題」を見抜くことができれば、あなたは様々な問題に優先順位をつけられるようになり「何を考えるべきか?」に迷わなくて済むようになる。 イシュードリブン思考を身につけるメリット -2:仕事の生産性が上がる 仕事の生産性を上げるために最も重要なことは「やらないことを決めること」だ。 「すべてを一生懸命頑張る」のは美徳だが、ビジネスに与えられた時間は有限だ。 そして有限な時間の中で高い成果をあげるには、取り組むべき問題を「白黒つける価値が高い重要な問題」のみに絞って「白黒つける価値が低い問題は捨てる」のが最も効果的な方法だ。 あなたがビジネスパーソンなら「パレートの法則(20:80の法則)」は見聞きしたことがあるはずだ。 バリューの80%は、わずか20%のインプットからもたらされる。 その20%を見極めるのがイシュードリブン思考だ。 イシュードリブン思考を身につけるメリット -3:チームメンバーの「考える力」を育成できる イシュードリブン思考を身につけることができれば「イシューの与え方」を通してチームメンバーの「考える力」を育成することができるようになる。 例えば、先ほどの「売上の低迷」に直面した際の「イシューの与え方」について考えてみよう。 イシューの与え方-1:仮説型のイシューを与える 「仮説型のイシューを与える」とは「イシューと仮説をセットにして示すこと」を指す。 例えば「 売上低迷の原因は営業力か?」という問いは、• 何を考えるべきか?:「売上低迷の原因は何か?」というイシュー• どう考えるべきか?:「売上低迷の原因は営業力か?」という仮説 がセットになって示されている。 まだチームメンバーがジュニアクラスの場合は、いきなり「売上低迷の原因は何か?」というイシューを与えても「何かを考えなきゃいけないことはわかってる。 でも、何を考えていいかがわからない」という状態になる。 いわば、何をどこから手を付けていいかがわからない状態だ。 そこで「イシュー」だけでなく「仮説」とセットにして示すと、そのメンバーは「何をどう考えるべきか?」が明確になるため、次のアクションに移しやすくなる。 仮説思考を身につける方法は イシューの与え方-2:比較型のイシューを与える チームメンバーが「仮説型のイシュー」に慣れてきたら、次は「比較型のイシュー」を与えるのが効果的だ。 例えば先ほどの「売上の低迷」の例では、• 売上低迷の原因は営業力か?• 売上低迷の原因は商品力か?• 売上低迷の原因はその他にあるのか? と選択肢を並べて示すのが比較型のイシューだ。 人は「比較の視点」が入ると上位概念に目を向け、上位概念から比較対象を位置付けることができるようになる。 このケースの場合「売上低迷の原因は何か?」が上位概念であり、その比較対象が「営業力か」「商品力か」「その他か」だ。 そして上位概念に目が向くようになると、比較対象は「営業力」や「商品力」以外にもあるのでは?と気づけるようになり「チャネル力」や「宣伝力」など、比較対象を増やして考えることができるようになる。 これは別の言い方をすれば、新たに「売上低迷の原因はチャネル力か?」「売上低迷の原因は宣伝力か?」など、新たに「仮説型のイシュー」を生み出したのとイコールだ。 このように「比較型のイシュー」を与えていけば、チームメンバーは自然と上位概念を考える力が身につき「イシュードリブン思考」や「仮説思考」が磨かれていく。 イシューの与え方-3:自由型のイシューを与える チームメンバーが「比較型のイシュー」に慣れてきたら、最後は「自由型のイシュー」を与えると成長を促進しやすくなる。 「自由型のイシュー」とは、先ほどの例では「売上低迷の原因は何か?」にあたる。 いわば「仮説ゼロの状態」のイシューだ。 「自由型のイシューを与える」ということは、チームメンバーに裁量を与え、イシューそのものを自分の頭で考えさせるということになる。 ここまでくれば、チームメンバーは「あなたからイシューや仮説を与えられる」よりも「自分でイシューや仮説を生み出す」ことにやりがいを感じているはずだ。 その結果「自分でイシューを設定し」「イシューに対する仮説を立て」「その仮説を検証して結論を出す」という問題解決の一連の流れを自走できる人材に育っていく。 問題解決の方法は イシュードリブン思考の鍛え方と例 いよいよここからは、イシュードリブン思考を鍛える方法について、例を交えて解説していこう。 イシュードリブン思考を鍛える要素は、大きくわけて5つある。 常に問題意識を持つ• 問題をコンテクストに照らして考える• 問題を高い視座から捉える• 問題が置いている前提を疑う• 問題を捉える視点を増やす 以下、一つ一つ解説していこう。 イシュードリブン思考の鍛え方-1:常に問題意識を持つ イシューの設定力の差は、問題意識の差といっても過言ではない。 常に「解くべき問題は何か?を考えている人」と「ただ与えられた問題の答えを探すだけの人」とでは、イシュードリブン思考に大きな差がついてしまう。 なぜなら「問題」には、• すでに発生してしまっている「発生型の問題」• 今後発生しうるであろう「潜在的な問題」• 高い理想とのギャップを埋める「設定型の問題」 の3種類の問題があるが、能動的に「解くべき問題は何か?」を考えていない限り「2. 今後発生しうるであろう潜在的な問題」 や「3. 高い理想とのギャップを埋める設定型の問題」を発見することはできないからだ。 現場のビジネスパーソンとなれば、経営に関わるような大きなイシュー設定に関わる機会は少ない。 しかしだからこそ、常日頃から「白黒つける価値がある重要な問題は何か?」を考え続けることができれば、5年後10年後に大きな差となって表れてくる。 イシュードリブン思考の鍛え方-2:問題をコンテクストに照らして考える 物事には、必ず「目に見えるもの」と「その背景にあるコンテクスト」がセットになって存在している。 そして「背景にあるコンテクスト」次第で「目に見えるもの」の意味合いが変わることがある。 例えば、あなたは上司から「売上を上げる」というミッションを与えられたと仮定しよう。 もし「売上を上げる(=コンテンツ)」というミッションの背景(=コンテクスト)に「売上が低下し続けている」という事実があるなら、あなたがまず最初に設定すべきイシューは「なぜ売上が低迷し続けているのか?」となる。 一方で、もし「売上を上げる(=コンテンツ)」というミッションの背景(=コンテクスト)に「売上が拡大し続けている」という事実があるなら「売上の拡大を加速させるには何が必要か?」が重要なイシューとなるはずだ。 このように、同じ「売上を上げる」というミッションでも、その背景にあるコンテクスト次第で設定すべきイシューは変わる。 もしあなたがイシュードリブン思考を身につけたいなら「目に見えるもの」だけで考えるのではなく「その背景にあるコンテクスト」に照らして考える習慣をつけよう。 コンテクストを見抜く方法は イシュードリブン思考の鍛え方-3:問題の視座を上げる イシュードリブン思考を鍛える方法の3つ目は、あなたの視座を上げることだ。 仮にあなたがふりかけメーカーのマーケティング担当者だったとして、売上の低迷に悩まされているとしよう。 もしあなたが「ふりかけ市場の市場競争に勝つには?」というイシューを立てたとしたら、競合ふりかけブランドをリストアップした上で「競合ブランドAに勝つには?」「競合ブランドBに勝つには?…」などのサブイシューに分解し、詳細な競合比較分析を行うことになるはずだ。 しかしもしあなたが市場を「ふりかけ市場」から一つ上の視座で捉え「ご飯の上に乗せるもの市場」と捉えた場合、どうなるだろうか? 競合は「ふりかけブランド」だけでなく「納豆」や「卵(かけご飯)」なども視野に入ってくる。 これは別の言い方をすれば「納豆に勝つには?」「卵かけご飯に勝つには?」という新たなイシューを生み出したことを意味する。 さらにもう一つ上の視座で捉え「ご飯に混ぜるもの市場」と捉えた場合はどうだろうか?さらに「炊き込みご飯」や「おにぎり」などが競合として視野に入ることになる。 ここまで視座を上げれば「競合ふりかけブランドに勝つには?」だけでなく「おにぎり用に使ってもらうには?」など、より幅の広い可能性(=イシュー)を検討することが可能になる。 このように、もしあなたが視座を上げてイシューを設定することができれば、比較対象を増やし、問題解決の可能性を広げていくことが可能になる。 視座を上げる方法は イシュードリブン思考の鍛え方-4:問題が置いている前提を疑う もしあなたがビルオーナーで、テナントから「エレベーターの待ち時間が長い」というクレームに悩まされていたとしよう。 あなたはどのようなイシューを設定するだろうか? 考えやすいのは「どうしたらエレベーターの待ち時間を減らせるか?」というイシューだ。 しかしこのイシューを設定した場合、その解決策は平均待ち時間を制御するAIをエレベーターに導入し、最適化技術を通して待ち時間を減らす、など大きな設備投資を伴うことになる。 しかし、このイシューの前提を疑ってみよう。 「どうしたらエレベーターの待ち時間を減らせるか?」というイシューは「エレベーターに工夫を加えること」という前提を置いている。 しかしこの前提を疑う視点を持てれば、真の問題は「エレベーターを待っている時間が無意味に感じること」という人の感じ方の問題であることに気づく。 そうすれば「エレベーターの待ち時間を意味があるものにするには?」という別のイシューを立てることが可能になる。 事実「エレベーターの横に鏡を置く」という大きな設備投資を伴わない施策で、エレベーターの待ち時間を「身だしなみを整える有意義な時間」に変え、クレームを大きく減らした例が存在する。 このように、問題が置いている前提を疑うクリティカルシンキングをマスターできれば、より適切なイシューを設定することが可能になる。 前提を覆す視点は イシュードリブン思考の鍛え方-5:問題を捉える視点を増やす 視点とは「今、自分がどこに焦点を当てて物事を見ているか?」という着眼点のことであり、いわば「目のつけどころ」だ。 もしあなたが問題を捉える視点を増やすことができれば、人とは異なる視点でイシューを設定することが可能になる。 例えば、• 「現象」だけでなく「その現象を引き起こしている原因」にも目を向けてみる• 「量」だけでなく「質」の視点で捉えてみる• 「違い」だけでなく「類似性」に着目してみる• 「モノ」だけでなく「モノ同士の関係」を捉えてみる などだ。 もしあなたが「多角的に視点を変える力」を身につけることができれば、様々な物事に対して人よりも多様な側面に気づけるようになる。 そうすれば、これまで見過ごしがちだったイシューに光を当て、新たな可能性を広げていくことが可能になる。 視点を増やす方法は 良いイシューの条件 最後に、良いイシューの条件について解説しよう。 良いイシューの条件は、大きくわけて3つ存在する。 本質的か?• インパクトが大きいか?• 解けるか? 良いイシューの条件-1:本質的か? 良いイシューの条件の1つ目は「本質的なイシューかどうか」だ。 例えば「売上低迷の原因は?」の問いに対して、あなたの部下が以下のようなサブイシューに分解したと仮定しよう。 販売数量が減っているのか?• 販売単価が下がっているのか?• しかし、より本質的に考えると、どのようなビジネスも「ニーズの大きさ」と「競争優位性」の2つで決まるはずだ。 だとすれば、• 市場規模が縮小しているのか?|市場の視点• 自社商品の競争優位性が失われているのか?|シェアの視点 というイシューもありうる。 そして前者のイシューの場合、解決策は営業施策止まりとなりやすいが、後者の場合は事業戦略やマーケティング戦略全体の根本的な見直しもスコープに入ることになるはずだ。 このように、良いイシューの条件とは、答えが出ることでその先の検討方向性に大きく影響を与える「本質的なイシュー」だ。 良いイシューの条件-2:インパクトが大きいか? 多くの企業では、数え切れないほど多くの問題を抱えている。 これはあなたの企業も同様のはずだ。 しかし、それらの問題全てを解決しようと思っても、時間もなければ人も足りない。 そのような状況の中で成果を上げるには、いかに成果のインパクトが大きいイシューを選び取るかが重要だ。 時々、小さなイシューに固執してしまう人がいるが、解いた際のインパクトが大きい問題こそが、良い問題だ。 もしあなたが数えきれないくらいの問題を抱えているなら「解いた際のインパクトが大きいか?」という基準で優先順位をつけよう。 良いイシューの条件-3:解けるか? 例え重要だったとしても、答えを出せないイシューは多くある。 そして、答えが出せる見込みが殆ど無いイシューが存在ことを認識した上で、そこに時間を割かないことが重要だ。 逆を言えば、答えを出せる範囲で最もインパクトのある問いこそが「良いイシュー」であるといえる。 思考能力が高い人によくありがちなのは、より本質的に物事を考えて追求した結果、解決には天文学的な時間がかかったり、社会レベルで構造改革が起きない限り解決できないイシューを設定してしまうことが。 より本質的に物事を考えるのは素晴らしいことだが、それは「解決できる範囲内」という前提付きだ。 もしあなたが「良いイシュー」を設定したいなら、現在の手法・やり方の工夫で、その論点に対して求めるレベルの答えが出せるのか?を考える習慣をつけよう。 関連記事 お知らせ:このブログから書籍化。 現在は「VUCAの時代」といわれるように、一寸先の未来すら読みにくい時代だ。 また、インターネットの発達によって情報が氾濫する近年は、情報のスピードに追いすがるのが精いっぱいとなり、情報ひとつひとつの「意味合いの解釈・洞察」が難しくなっている時代ともいえる。 しかしそんな時代だからこそ、数ある情報の中からいち早く重要なものを見抜き、左脳と右脳の両方を駆使して未来の可能性を見出す「推論力」が求められる。 巷には「論理的思考」や「クリティカルシンキング」など様々な思考法が存在するが、重要なのは「思考法の理解」ではなく「思考法の運用の仕方」だ。 どんなに優れた思考法も「どのような局面で」「どのような手順で」「どのような頭の使い方をすればいいか?」がわからなければ、実務に落とせず、役に立たない。 本書は、外資系コンサルティングファームと広告代理店のキャリアを持つ筆者が「推論力=見えない原因や見えない未来」を適切に見通す力」と捉え、様々な思考法について「頭の使い方の手順」や「トレーニング方法」に加え「習慣化する方法」まで含めて解説している書籍だ。 おかげさまでや、等、数多くのメディアで取り上げていただいた。 Amazonレビューでも、• 事例が多いので、理屈だけでないコツや感覚が身に付いてくる実感がある• R25の自分でも、読後すぐにインプットした内容を行動に移せる• ここ5年で読んだ本の中で、一番実践的な名著 など、ありがたいコメントを頂いている。 もし、あなたが日々の仕事の中で「適切な論点を設定できない」あるいは「シャープな仮説を立てる実力が足りない」と思うなら、ぜひ本書をチェックしてみてほしい。 イシューの本|おすすめ書籍3冊 締めくくりに、あなたにおすすめできる「イシューの本」を紹介しよう。 選定した基準は下記の通りだ。 以下のどれかに当てはまるものをピックアップした。 実際に戦略立案実務や事例共有に役立っているイシュー関連書籍。 長年に渡って読み継がれており、時代を越えても変わらない「本質」や「原理」が見出せるイシュー関連本。 もちろん、すべて「なぜ読むべきなのか?」という解説付きだ。 本書が主張しているのは、問題を解く前に、そもそも「何が問題なのか?」を見極めることの重要性だ。 このブログをお読みのあなたなら、ロジカルシンキングの重要性は理解しているはずだ。 しかしどんなに優れた「論理」も、そもそもの「前提」が間違っていれば、間違った論理なる。 ロジカルシンキングの本は、どれも「既に正しい前提は見極められている」ことを想定してロジックツリーやピラミッドストラクチャーを解説しているものも多い。 しかし重要なので繰り返すが、間違った前提は間違った答えしか生まない。 本書を読めば、正しい前提を見極め、その前提に対し、質の高い解を出していく方法論が得られるはずだ。 イシューの本おすすめ書籍-2: 考える力とは、問題をシンプルにすることである 正しい問題設定は、無理と無駄をなくす。 本書は、元経営コンサルタントである筆者が「真に取り組むべき問題(イシュー)」の設定の仕方を解説している書籍だ。 本書の特筆すべき点は、著者が問題解決力を養う子供向け学習塾の指導者であることもあり、極めて分かりやすい表現と語り口で「本質的な問題を設定する方法」を解説している点だ。 こと「イシュー」といえば、前述した「イシューからはじめよ(英治出版)」が有名だが、こちらはより初心者向けと言えるだろう。 もしあなたが「根本的な解決策を生む、本質的な問題設定ができるようになりたい」「そのエッセンスをわかりやすく知りたい」と思うなら、本書はお薦めの書籍だ。 イシューの本おすすめ書籍-3:仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法 あなたは「なぜ、ビジネスには仮説が必要なのか?」を周囲に説明できるだろうか? どれだけ多くの情報を集めたとしても、ビジネスにおいて100%の正解など存在しない。 なぜなら、あらゆるビジネスは未来に対してなされることであり、未来のことなど誰も100%予測することは不可能だからだ。 「仮説思考」とは、情報が不十分だったり、分析が進んでいない段階でも、問題解決を図る上で自分なりの「仮の答え」を持つという考え方だ。 「仮の答え」が持てれば「仮の答えが正しいか否か」にスコープを絞って情報収集や分析を行えるようになる。 その結果、問題解決の生産性が高まり、意思決定のスピードも格段に早まる。 あらゆる物事は、結局は「やってみなければわからない」以上、成功の確率を上げていくためには、素早く仮説の検証と意思決定を行い、実行フェーズで愚直に改善していくほうが現実的だ。 しかしだからと言って、当初の仮説が甘ければ成果はおぼつかない。 本書では「どうすれば早く良い仮説を立てられるか」「仮説が正しいかどうかを、どう検証すればいいのか」などを、実際のビジネスの現場でよく出会うような事例を基に解説してくれているベストセラー書籍だ。 情報が多ければ多いほど、よい問題解決ができるはず。 そんな先入観をもつビジネスパーソンにこそ、必読の一冊だ。

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「地域金融機関の経営とガバナンスの向上に資する主要論点(コア・イシュー)~「形式」から「実質」への変革~(案)」等に関するパブリックコメントの結果等の公表について:金融庁

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「イシュー」の使い方 「イシュー」は主にビジネスや経営などによく使われています。 ビジネスにおいて、課題点や議題など考えるべきテーマを「イシュー」と指します。 また、イシューの中でも特に重要度の高いものを「 クリティカルイシュー」と言います。 重要な課題や問題点、また重要である案件のことを指す場合もあります。 また、ビジネス手法のひとつである「 クリティカルシンキング」においても、イシューが重要となっています。 「クリティカルシンキング」における「イシュー」は、ただの「論点、課題」ではなく「何についてどう考え、論じるか」といったものを指します。 このクリティカルシンキングは「批判的思考」と言われています。 ビジネスにおいて「最善かつ最適である」ようにするために、現在の状態や情報などを「それは果たして本当に正しいのか?」疑問を持って考察をし結論を出すことです。 その他、「イシュー」の詳しい使い方は下記の例文を参考にしてください。 「イシュー」と「タスク」の違い 「イシュー」は、「課題、問題点、議題」 「タスク」は、「一定の期間内に成すべき仕事、課題、職務」 同じ「課題」といった意味がありますが、 「イシュー」は 解決すべき課題であるのに対して、 「タスク」は 与えられた課題のことを言います。 「イシュー」は「論点、議題」といった意味を持ち、「タスク」は「任務、職務」といった意味を持っています。 どちらもビジネスで使いますが、「イシュー」は主に会社全体やプロジェクト、商品など物事に対して用いられており「タスク」は主に自分自身に対してや自分が所属するチーム・部署などに対して用いられています。 「タスク」について、詳しくは下の記事も参考にしてみてください。

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